ニッチブックス西山の独り言

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フリーゲーム「おばけの行進曲10th」が面白かった理由/一人のプレイヤーとして考えたいこと

ニッチブックスのフリーゲームレビューにて、「おばけの行進曲10th」のレビューを書かせていただきました。

名作フリーゲーム「おばけの行進曲」の続編にあたるこの作品。かつて前作をプレイし、ハマった人も多いのではないでしょうか。

あえて懐古趣味な言い方をしますが、フリーゲームが盛り上がっていた「古き良き時代」を代表する作品の続編が、いまこのタイミングで発表されたことを嬉しく思います。

レビューでも書いたとおり、ストレスなく遊ぶことが出来る親切設計や、可愛らしいグラフィック、やりこみ要素などの要素のバランスが良く、誰でも楽しめるゲームなのが魅力だと思います。

「おばけの行進曲10th」が面白かった理由

私個人の感想としては、非常に言い表すのが難しいのですが、久々に「アクションゲームをやっている感」を強く感じることが出来た作品でした。アクションゲームをやっているのだから「やっている感」があるのは当然だろうと思われるでしょうが、これが私が面白く感じた理由です。

私があまりアクションゲームというジャンルを遊ばないだけかもしれませんが、手足の延長のように「思い通りに動かす楽しさ」を感じられるゲームは、そう多くないように思えます。これは単純な操作性の良し悪しではなく、違和感があるという話です。

「おばけの行進曲」では憑依するおばけごとに、がらっと操作性が変わり、その多種多様さも楽しさの一つです。しかし、中には移動速度が下がってしまったりするおばけも存在します。それでも操作性が悪いとか違和感があるということは無く、特徴的だと感じられます。このようなバランス設計が「思い通りに動かす楽しさ」を生み出し、それが「やっている」と強く実感することに繋がっているのではないでしょうか。

非常に丁寧に作られた作品ですので、前作をプレイしたことが無いという方にも是非お勧めしたいですね。勿論、かつて「おばけの行進曲」を楽しんだ思い出がある方なら、より一層楽しむことが出来るはずです。

 追記:一人のプレイヤーとして考えたいこと

「おばけの行進曲」製作者のsam113さんはブログの中でこう仰っています。

趣味のゲーム製作で、他者からの評価を求めてしまうと、だいたいロクなことにならない、というのが僕の経験則だ。評価を求めすぎると、作品の内容が自分の作りたいものからどんどん離れてしまうばかりか、精神のバランスを崩す原因にもなってしまう。

11年前に作った初代「おばけの行進曲」は、20万件以上ダウンロードして頂いたが、それからしばらく続いた、山のように感想メールが届く日々は、正直僕にはきつかった。

ダウンロード数なんて見なくてもいい。有名にならなくてもいいし、注目されなくてもいい。コンテストやイベントの類にも出ない。だいたい若い人の集まるコンテストに、50歳60歳になった自分が参加するのも滑稽だ。商業化?夢にも見ないし期待もしない。

ただ淡々と自分の作りたいものを作り、ひっそりと公開する。それが35年間創作を続けるコツだろう。

非常にストイックな創作姿勢が感じられますが、それは「他者からの評価」という精神的負担の裏返しなのかもしれません。今までこういったことは、考えたことがありませんでした。

ニッチブックスの活動としてレビューをする際に、当初は決まりごとのようなものはありませんでした。しかし、活動を続けていくうちに、記事を投稿した後には作者様への連絡をしようという話になりました。

今では、新しく記事を投稿する際に可能な限り作者連絡を行っております。しかし、この連絡もリアクションを期待した押し付けがましいものだったのではないかと、改めて考えています。

創作活動へのフィードバックがあれば嬉しいという方も多いですが、「皆そうに違いない」という思い込み・せっかく書いたから読んでもらいたいという押し付けがましさが私に無かったとは言い切れません。これは私個人に限らず、創作の受け手であるプレイヤーひとりひとりも自覚する必要があるかもしれません。

何も作者に感想を送ってはいけないという話ではありません。他者と関わることは、必然的に他者へ影響を与えることになります。だからこそ行動を起こす際には、どういった動機に基づいたものか自覚的でありたいということです。

少なくとも今回は「評価の押し付け」をせずに「気づいてくれたらいいなぁ~」ぐらいの気持ちで行きたい、と西山は考えたのでありました。

 

ねないこだれだ (いやだいやだの絵本 4)

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