続・パブリックドメインという共有財産
パブリックドメインという共有財産の続きです。
青空文庫の校正者不足・サーバの老朽化、どちらも人手が足りないのが原因で発生した問題です。
営利目的での運営ではないため、有志の力に頼るほかないのですが、ボランティアの限界を感じます。
実際に、校正者不足に関しては有償の校正に踏み切った例もあります。
いま直面している問題に対して、どのような解決策が見出されるのか、目が離せません。
私たちにできること
こちらは、青空文庫創設者の故・富田倫生さんのインタビューです。
彼は、大きなボランティアの中に有償の作業を組み込むことの難しさ、青空文庫の存在理由についてこう語ります。
ただ、少なくとも私自身は、本の電子化は「ボランティアで進めるべきだ」と考えているわけではありません。青空文庫はこの形で成果をあげてきたけれど、ボランティアで進めることの制約も、はっきり見えています。
(中略)
ただ、大きなボランティアの枠の中に一部、有償の作業を組み込むのは大変難しい。「この形しかない」とは思わないけれど、青空文庫はこのままボランティアで進んでいくでしょう。
確かに、しっかりとした企業が主導して、誰もが自由にこの「知」という共有財産を手に取ることができる社会が実現すれば、それは素晴らしいことでしょう。
ですが、その役割は未だに青空文庫が担っています。
この共有財産を守るために、私たちには何ができるのでしょうか。
現実的な手段としては、寄付があります。青空文庫の活動を支援する「本の未来基金」に寄付をすることができます。
しかし、寄付とは自らの意思によってするもので、させるものではありません。
私たちが他者へ働きかけることができる手段としては、やはり知ってもらうことでしょう。
私がこの記事を書いた動機も、青空文庫が抱える問題について改めて知っていただきたいと思ったからです。
こちらは、青空文庫の書籍をEPUB形式で配信しているサービスです。HTMLよりも読みやすく、気軽に手に取れると思います。
青空文庫をあまり利用したことが無いという方は、この機会に歴史に残る名作を是非チェックしてみてください。