「SFって何?」という人向けのオススメ古典SF小説10選
先日、友人が口にした「SFってよく分からない」「近未来とか宇宙が舞台のやつ?」という言葉に衝撃を受けました。
そこで、「これを読んでおけば間違いない」というSF小説の代表作を、ジャンルごとに挙げていきたいと思います。
科学小説
SFとはサイエンス・フィクションの略です。
Science FantasyだったりSukoshi Fushigiでも良いじゃないかという声もありますが、基本的には、科学的な空想作品であれば問題ないわけです。必ずしも、舞台が近未来や宇宙である必要はありませんし、ロボットが出てこないといけないということもありません。
「科学小説」は名前の通り、SFの代名詞ともいえる存在です。
この頃に作られた作品は、まだリアリティや厳密な整合性よりも、ファンタジーに寄っています。しかし、SF小説の創生期である1800年代に生まれた科学小説は、SFを語る上では外せないでしょう。
ハードSF
これに対して、より厳密な科学的考証に基づいており「それっぽい」リアリティがあるものはハードSFと呼ばれています。主に1940年代以降に生まれたジャンルです。
上記の作品は、それぞれ「ロボットもの」「タイムトラベルもの」と細かく分類することもできます。SFと聞いて多くの人が想像するのが、こういった作品ではないでしょうか。
とにかく、科学的な合理性を重視していることが大きな特徴となっています。
とはいえ、必ずしも正しくなければいけないというわけではありません。実際に、後に「科学的に正確ではない」設定であることが判明した作品も、数多く存在します。
科学的に正しくなかったとしても、これらの作品がハードSFであることに変わりはないのです。
方程式もの
『冷たい方程式』は、一風変わったSF作品である「方程式もの」です。
死に至る病の血清を届けに行くため、最低限の燃料だけを積んだ宇宙船。そこに一人の少女が密航しました。しかし、招かれざる客がいては燃料も酸素も足りず、目的地へ辿りつけません。このままでは、血清を待つ人々・パイロット・少女すべてが死亡してしまいます。あなたはどのような解法を導き出しますか?
といった設定です。設定が科学的ではあるものの、緊急避難を扱っているのが特徴的です。
少女を救うため、大まかな内容は同じでも、細部が異なる様々な「方程式もの」が作られました。
終末もの
災害や戦争で社会が破壊された世界、文明が終わった後の世界などを舞台とした作品。終末・破滅を前にした人々が終わりにどう向き合うか、というのが描かれているのが特徴です。
『渚にて』は「心地よい破滅もの」と呼ばれており、絶望的な状況にも関わらず、悲惨さはあまり感じさせません。
同じように『幼年期の終わり』も、単なる終末ではなく「人類の進化」もテーマとなっています。また「異星人とのファーストコンタクトもの」の要素も持っています。
ディストピアもの
アンチ・ユートピアものとも呼ばれています。全体主義的な徹底した管理社会と、そんな中で生きる人々が描かれています。
私が一番好きなジャンルでもあります。特にオススメは『1984年』です。
権力や社会の強大さ、それに立ち向かう人間の無力さが表現されていますが、一抹の希望を感じられるラストシーンが特に気に入っています。
人間性や尊厳といったものが踏みにじられる「暗黒郷」が舞台だからこそ、体制に反逆する人々が、より輝いて見えるのかもしれません。
作中に登場する「二重思考」や「ニュースピーク」などの造語は、後のディストピア作品にも大いに影響を与え、モチーフとして頻繁に使われることとなりました。
終わりに
他にも、宇宙戦争などを扱った「スペースオペラ」や「サイバーパンク」など、SF小説には様々なジャンルがあります。
しかし、私がスペオペに詳しくないことや、サイバーパンクが比較的新しいジャンルであることなどを考慮し、以上の10作品をオススメさせていただきました。
再度のおすすめになりますが『1984年』は、読んだことが無い方や「SFといえば宇宙とロボット」という方にこそ、是非手に取っていただきたいと思います。