続・そもそも「ニッチブックス」とは何か
前回の記事の続きです。
なぜ電子書籍なのか
まず前提として、個人で紙の本を出版するというのは簡単なことではありません。元々有名人であったり、何かの新人賞をとった新進気鋭の作家ならば話は別です。出版社としても収益が期待できるため、歓迎することでしょう。
そうでない場合、かつては自費出版をするしかありませんでした。高額な費用・販売ルートや販売部数確保の難しさなどを考慮すると、ハードルが高い方法と言えます。
しかし、今は電子書籍を製作することが以前よりも容易になりました。電子書籍であれば、あまりランニングコストをかけずに個人で出版が可能で、尚且つ在庫を抱えるリスクもありません。従来の手法とは異なるセルフパブリッシングの形です。
そうした理由から、個人で電子書籍を製作されている方もあまり珍しい存在ではなくなりました。一昔前は「紙の本至上主義の人間が多い日本で、電子書籍なんて流行らない」と言う意見が一般的でしたが、最近は手軽に利用できる電子書籍を活用する読者も増えているように感じます。
現在は終了していますが、2015年3月4日から15日までの期間、角川グループの電子書籍関連子会社のBOOK☆WALKERが、新規会員登録者に2500円分のコインをプレゼントするキャンペーンを行い、大いに話題となりました。私の周囲では「この機会に初めて電子書籍に触れた」という方も多かったのを記憶しています。
電子書籍業界の間隙
こうした状況から、電子書籍は今まさに成長産業であると肌で感じています。そしてニッチ産業とは、常に成長産業のすぐそばにあるものなのです。
経営戦略用語にブルー・オーシャン戦略という言葉があります。競争の激しい市場を血に染まった赤い海に、反対に競争のない市場を青い海に例えています。
今後、電子書籍事業への参入が増え、競争が激化していくことが予想されますが、マイノリティの需要というものは見過ごされているように感じます。そして、それこそが電子書籍業界における「青い海」なのではないでしょうか。
ブルー・オーシャン戦略――競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
- 作者: W・チャン・キム,レネ・モボルニュ,有賀裕子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2013/05/17
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