ニッチブックス西山の独り言

電子書籍販売サークル ニッチブックスの西山の独り言ブログ

電子画集と著作権をめぐる話

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最近は、できる限り多くの種類の電子書籍を製作したいと思い、サンプル作りに励んでおりました。

特に画像が多い電子書籍や固定レイアウトの場合、条件によってはストアの審査が通りにくいという話をよく耳にしたため、審査に通るかどうかのテストをするために画集を作ってみることにしました。

しかし、試しに画集を製作する上で、一つ大きな問題点があります。

私、絵が描けません。

絵が描けなくても画集を作る方法

なんとか絵が描けなくても画集を作れないものか思案してみましたが、まずはじめに思いついたのは「フリー素材を使用する」ことでした。

しかし、あくまでフリー素材のフリーとは「無料」のことであって、著作権自体を放棄しているわけではありません。「自由」に使えるのは、規約を逸脱しない範囲内に限られています。

配布サイトでの規約に目を通すと、「個人での利用」や「一部商用利用」は許可しているものの多くの画像素材は「素材自体が価値を決めてしまう販売物」に使用することは認められていません。

あくまで試験的なサンプル作成が目的ですが、ストアの審査に出す以上は「販売物」になってしまいますので、フリー素材の使用は断念しました。

著作権が存在しないもの

次に考えたのが著作権が存在しない「パブリックドメイン」を使用することでした。

日本国内の法律では「著作者の死後50年が経過した著作物」は著作権が消滅します。

戦時加算という例外もあるため注意が必要ですが、基本的に著作者の死後63年が経過した作品はパブリックドメインとして扱うことができます。

以上のことから、条件を満たす作品として西洋絵画の古典を画集の題材に選びました。テーマは「グスタフ・クリムトの風景画」です。

クリムトは女性を描いた作品が有名ですが、あまり有名なものを扱っても面白くないので、あえて風景画を選びました。

実験結果

まず今回は、KDPへの審査を通すことを目標としてサンプルを製作しました。テーマに沿ってネット上から絵画の画像を収集し、レイアウトを考えて編集し、解説をつけました。

その結果、アップロードの翌日には審査が完了し、販売が開始されていることが確認できました。

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そもそもKDPの販売オプションでロイヤリティを決定する際に「パブリックドメインは30%」と記載があります。パブリックドメイン作品自体は、もともと問題なく有料で販売することが出来るのです。

勿論、ネット上に転がっている画像で作成するわけですから、よほどの編集技術がない限りは「売れる」ものは作れないでしょう。(今回の画集は、まだ編集クオリティに不安があったのと、売ることが目的ではなかったため、すぐに販売停止しました)

しかし、誰でも画集を作ることが出来るという事実は「自分に画像中心の電子書籍は作れない」と思っていた私にとって新鮮でした。

電子書籍製作に興味があるけれど絵が描けない」という方は、是非一度お試しいただく価値があると思います。

 

こちらも、クリムトの風景画に注目した珍しい作品です。

詩ふたつ

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